豊饒ではない海は誰が作ったのか?

海から魚を減少させたのは人間である。
結果としては正しいのだが、左翼主義もしくは左翼志向の話ではない。
日本人は満点待望民族であり、満点でなければ欠陥を捜すのを得意としている。そのため乱獲による魚の減少データに目をやる人が多く、増加データに目をつける人は少ない。私はここで魚の増減や中立視点にとやかくいうつもりはない。
魚類ではないが魚の天敵である動物の増加データがある。ミンククジラである。数字は他を参照していただきたいが、激増であることは間違いない。
日本近海に迷い込んだクジラのニュースを見たことはないだろうか?“人間の世界に迷い込んできたかわいそうな動物…”みたいな報道がなされているが、これは手塚治虫宮崎駿を代表とする大衆娯楽系エンターテイナー*1の非科学的な妄想と同じである。
本来ならクジラは陸上から目撃されるようなことはない。近年目撃されることが増えてきたのは、捕鯨が禁止されたためにクジラの餌となった魚類が減少し、クジラが陸に近い魚類を狙っているからである。
古来より日本近海は暖流と寒流のぶつかる豊穣の海であった。稚魚が親になりやすいゆりかごとも言える地形もそれを支えていた。『いくら魚をとっても撮り尽くすことはない』などと言われ、猪以外の陸上の動物を食す習慣はなかった。日本人が唯一有史以前から食してきた哺乳類である。
科学的なデータに基づかない捕鯨禁止は決して人類を豊かにすることはない。クジラによる魚類の乱獲を許してはならない。捕鯨を禁止するということは大量殺戮に加担するのと同じことなのである。
単位面積あたりの動植物の数を比較してみると、林業によって人間の手を入れた場所と手を入れない原生林では手を入れたところのほうがはるかに多いそうである。同様に田んぼや畑を狙う野生の動物が多いのはそこが豊穣だと感じているからである。すべての人間の活動が悪に起因もしくは悪に作用すると考えるのはもうやめにしないか?

*1:圧倒的な力量は認めるし、個人的にはどちらも好きで楽しんでいる。