携帯電話

最近の携帯電話売り場を見ると3Gなどという言葉がきかれるようになってきています。3Gは3rd Generationつまり第三世代という意味で、アナログ1G・デジタル2G・高速デジタル2.5Gとは一線を画すという願いが込められています。

1G 歴史

1Gは混沌の歴史でした。各国・各会社が好き勝手に仕様を策定したため、特に欧州ではとてつもない混乱が生まれました。日本も当初はHi-CAPで統一されてはいましたが、外圧によってTACS方式など、ユーザーに混乱させるような選択を強いるものまでありました。ケータイ後進国アメリカでは独占禁止法により国際競争力のある通信会社が存在しなかったため、ポケベルだけが普及して1G携帯電話は普及していません。

2G/2.5G 状況

2G/2.5Gは競争の激化と混乱収拾のため、北欧の通信会社が中心になってGSMという規格が生まれました。GSMには携帯端末開発コストが安価(日本円で10万円程度)という特徴があります。その代償として、特定の電波周波数帯が必須であったり、過密地域での通信は出来ないようになっています。もともと人口密度が低い欧州での利用しか考えておらず、そもそも利用者が少ないことを前提に開発されたのです。日本はGSMと同時にPDCを開発・採用しています。米Qualcommcdma方式を採用した会社もあります。これらはGSMと比較して電波利用効率がよく、過密地域でも通信が出来ます。欠点はコスト高ですが、日本人の平均給与の高さに支えられ端末は安く月額基本料金は高くなっています。アメリカは主にGSM連合に加わり、自国のcdma方式はあまり採用されていません。韓国はこのタイミングで参入してきましたが、GSMではなくcdma方式での参入です。この段階では北欧GSMと米cdmaを比較して、より開発ロードマップのしっかりしたcdmaを選んだということでしょう。

3G 現在/近未来

3Gについて日欧連合がGSMの次の規格として策定したW-CDMAがありますが、実のところ欧米やアジア諸国ではあまり必要とされていません。日本はとても必要としているので、W-CDMAcdmaへの投資を怠ってはいませんが、その他の地域では携帯電話が過密になる可能性も3G高速通信の必要性も感じていないというのが現状のようです。そんな高速通信時代に突入した日本や韓国ではどんな状況になっているかというと、確実にコストダウン効果があらわれました。電波利用効率が上がって通信する時間も短く占有する電波帯も狭くなるため、通信料金が安くできます。海外では着信が有料でパケット通信料が青天井ですから、GPSつき携帯電話で地図などを表示させただけで卒倒するぐらいのパケットを使ってしまいます。ほかにも便利になったのが他国で日本の番号を使えること。それに海外のサラリーマンも同様に日本で自国の番号が使えること。日本ではW-CDMA機を調達する必要がありますが、かなり重宝しているようです。韓国はcdma方式しかありませんので、空港で携帯電話をレンタルして使っていることが多いみたいです。この場合、自国と同じ番号は使えません。
個人的な感想としてW-CDMA方式が優位です。ところがcdmaは劣勢のままなのかというとそうは考えられません。Qualcommは携帯電話のチップメーカーなのですが、ここの技術者は「W-CDMAcdmaチップに搭載することは可能だ」と言っているようなので、依然として目が離せない状況が続くと考えています。

4G 超高速通信時代/未来

3Gですらもてあましているのにもう数年後には4Gの策定がはじまろうとしています。これには携帯電話以外の要素も絡んでいるようです。このコラムでは混乱に拍車をかけるだけなので語っていませんが、PHSが高速通信を実現しています。また、いまでは低速な感すらある無線LAN規格802.11bは最大10Mbpsですから現在実運用で最も高速なcdma方式EV-DOの最大2.4Mbpsを4倍以上引き離して高速です。もちろん携帯電話は電波も強く移動して基地局が変わっても通信が切れないという利点はありますが、無線LANの次世代規格WiMaxはそのような欠点もクリアできる要素を持っています。WiMax基地局PHS基地局のように広がれば、携帯電話会社を脅かす可能性すらあるかもしれません。
どんな未来がくるにしろ、携帯端末では音声通信はなくなりIPフォンのようにパケット通信で音声会話する時代が来るのかもしれませんね。